昨秋、温泉にハマってからずーっとやってみたかったこと。
それは湯治!
オツな温泉宿にて湯治というからには1週間くらい長逗留してみたい…が、いかんせん雇われの身。
1週間の時間を捻出するのは至難の技。
でも、少なくとも2連泊はしてみたいなぁ~というささやかな夢が芽生えまして。
やっとこの度機会を得まして行ってきました!”鉛温泉・藤三旅館”湯治部。嬉し楽しの2連泊♪
こんなとこだよ、藤三旅館
藤三旅館のある鉛温泉は、岩手・花巻温泉郷の1つで、開湯600年の歴史があり館内4浴場全て源泉掛け流し!
その中でも深さ125cmの立って入る足元湧出の白猿の湯が有名です。
この「足元湧出」もまだ未体験な私。
足元湧出のフレッシュなお湯に是非とも入ってみたい…ということもあって、藤三旅館を選んだという次第です。
さて、この藤三旅館ですが…
- 高級路線(全室露天風呂付スイート)の十三月
- 旅館部
- 湯治部
とあって、言わずもがなそれぞれ価格帯・サービス・料理・ファシリティのランクが異なります。
こうして間口を広げてお客さんの様々なニーズに合わせるという経営方針、いいじゃない!と思いますね。
湯治部がもちろん一番安く一切のアメニティー付けず、自炊すれば3,300円~という驚きの料金。
でも、私…のんびりしたいので自炊はしたくな~い。浴衣の方が脱ぎ着が楽だから浴衣も必要だ!
この時期(2月2週目)は極寒だし部屋ではぬくぬく過ごしたいから暖房も必要だ!!
というわけで、ストイックすぎる湯治ではなく、別途追加料金を払ってアメニティー(歯ブラシセット・浴衣・羽織・タオル・バスタオル)と暖房(こたつとファンヒーター)を付けて朝・夕ご飯も付けた上でのお手軽・お気楽な湯治プランを選択しました。
ちなみにアメニティーセットとファンヒーターと炬燵は2日で1,650円/人でした。
滞在中の快適さがグンと良くなるので、これは付けて大正解。
いざ、藤三旅館へ
この看板のある坂を下ると藤三旅館なわけですが、路面を見ると温泉を噴出させて凍結防止してる。
雪国ではよく見る仕掛けですが、この光景にトキメキました。高まる期待。
旅館部と湯治部は別の建物で、本来は入り口も別なのですがコロナの影響で1本化されて、旅館の方よりチェックイン。
湯治部の入り口はこんな風に閉ざされていました
というわけで旅館の方よりお邪魔致します。
フロントの様子
入館して入り口方向を振り返ったところ↓
外観とフロント付近の様子からもすでに分かるように旅館の方は風情のある建物ですよね~。
昭和16年建築の総ケヤキ造りとのこと。この風格たるや。
この風格って長年に亘って湯客に愛されてきたことと、湯主・湯守やここで働く人たちが代々ここを大切に扱ってきたことの2つが重ならないと醸し出せないんじゃないかな。
フロント近くにある売店の品ぞろえはいま一つ。
なぜかタバコの占める割合が多い。そしてチェ・ゲバラの銘柄が多い。謎。
旅館部から廊下を渡って白猿の湯のところで湯治部に繋がる扉があるのですが、その扉から温度も廊下の色も一変します。
湯治棟はさながらサナトリウムとでもいいましょうか。寒いし、旅館部と較べると少々殺風景でもありますし。
でもまぁ、これはこれで味があると思う。
旅館は暖房が効いてますが、湯治部の方は暖房なし。しんしんと冷えます。外気温と変わらない気がする。
炬燵とファンヒーター付けて正解。
炊事場
山小屋の自炊場と較べたらかなり豪華・贅沢な炊事場。広いな~、寒いな~という第一印象。
10円入れると10分使えるガス台のレトロな佇まい。拾円という表記が歴史を感じさせますね。
レンジ・食器・鍋・カトラリーは過不足なく揃っています。
クレンザー、懐かしい。パッケージが昭和。
湯治部だけに洗濯機もありました。
冷蔵庫も別料金で借りることができます。出番待ちの冷蔵庫たち↓
今の季節、広縁が冷蔵庫並みの温度なので借りる程でもない。
湯治部の部屋は懐かしい感じ。必要にして十分。
テレビ(これは別料金ではなく元々ついてました。見なかったけど)と金庫がありました。
備え付けのお茶セットの急須がキッチュでキュート!
こういう急須、今売ってるんだろうか?
広縁にある台にはガスの元栓があったので、昔はここで煮炊きできたんだろうな。
布団は自分で敷くスタイルで、いつ寝てもいいし、炬燵でぬくぬくするもいいし温泉入りびたるのもいいしで自由だわ~
そう今回はなんってたって2泊なのだ!ということに思い至ってニンマリ。
1泊だと炬燵でのんびりするより温泉優先になってしまうけど、時間があるからもっとユルリと鷹揚に構えていてイイってとこが嬉しい。
藤三旅館の4つの温泉を堪能
ゆったりお茶を飲んだり持参したミカンを食べたり、しっかり水分を補給して、ムフフ。
いざ、温泉三昧でござるよ。
藤三旅館には以下4つの浴場があって 元々男女別の桂の湯以外は時間帯によって男女入れ替え制となっています。
より正確に言うと白猿の湯は混浴なのでその点気にしない女性ならば桂の湯も白猿の湯も掃除の時間以外はいつでも入れるということになりますが、タオル巻も湯あみ着もNGなのでハードル高いです。
- 桂の湯
- 白糸の湯
- 銀の湯
- 白猿の湯
こんな風に分かりやすい時間割一覧表もあるので、これを見て自分が今入れるところはどこかなぁとチェック
因みに白猿の湯のみシャワー・カラン・シャンプー類・ドライヤーがないので、ここ以外のお湯を頂いて体を洗ってから白猿の湯に行くという流れがスムーズです。
*浴場の写真は藤三旅館に「人が入っていない時ならば…」という条件付きで許可を頂き撮影しました
白糸の湯
展望の良い半露天風呂。
ここのお湯が私の肌にはものすごく優しいものに感じられた。
温泉って好み云々じゃなく相性ってものがあるんだなぁと感じ入ったところ
因みに白猿の湯以外はクレンジングや化粧水・乳液等々揃っていました。
銀の湯
男女別時間枠の他に貸し切り風呂として利用できる時間帯があったりするので、それを考えると入れる時間帯が21:00~6:00/10:00~15:00という変な時間になるので1度しか入らず。
小さな湯船と脱衣所の籠が3つのみのこじんまりとしたところです。
なるほど家族やカップルで貸し切り利用としての需要があるだろうなという感じ
桂の湯
内湯と露天があります。
眼下に流れる耳に優しい豊沢川のせせらぎを聞きながら温泉に浸かっていると、体内の毒素やストレスが抜けていく感じがする。
内湯は藤三旅館の温泉の中でも一番熱く長湯できないので、桂の湯の内湯はほぼスルーして毎回露天ばかり入ってました。
湯治部から近いのは桂の湯と白猿の湯で、白猿の湯は女性専用時間の縛りがある為、滞在中は桂の湯の露天に一番多く入っていたなぁ。
川側にちょうど良いベンチ状の平たい岩があって、柱を支える石を背もたれとして使えるベストポジションがあったので、常にそこを定位置にしてました。
で、そこに座って川のせせらぎを聞いて、ほげ~っと無になってる時間が心地よかった。
こういう時間、人生には必要だと思う。
白猿の湯
そして藤三旅館の名物・白猿の湯!!
天然の岩をくりぬいた湯舟の底から源泉100%のお湯が湧き出ている=いわゆる足元湧出というやつが体験できる白猿の湯。しかも1.25mという深さがある為、立ってはいります。
立居浴&足元湧出という初体験にワクワクしつつ、女性専用時間にいそいそ入りました。
それにしても…ここに足を踏み入れた瞬間に心に広がる解放感とひしひしと感じる重厚感。
神秘的ですらある。
登山者にしか通じない表現だけど、残雪期の御嶽山三ノ池のドラゴンアイみたいだと思った。
お湯のパワーを感じるし、なんかお湯に魂持ってかれそう。
近寄ると畏怖の念すら覚えるお湯は初めてです。
そしてこの地階から3階までの高い抜き抜けの天井。
足を踏み入れた時に感じた解放感はこの天井から来るものだろうなぁ。
なんという心地よさ。
私が日本好きな外国人なら「Cool」って大絶賛だと思う。
掛け湯をして、いざ湯舟に向き合ってフト思ったのが
「これ酔っぱらって足元が覚束ない状態で入ったら溺死できる深さだな」ということ。
慎重に足を踏み入れたところ、湯舟のヘリに足をおける段差があったので一安心。
その段差に腰かけて、椅子に座ったような態勢で湯あみできます。
ここに座って天を仰いで入るのがしみじみと良かった。
湯舟を一周したり、足元湧出している箇所に立ってお湯のパワーを感じてみたり全身全霊で白猿の湯を楽しみました。
この「立って入る」立ち湯は全身にまんべんなく湯圧がかかることで、循環器系を整えたり、血行促進にも効果があるそうですよ。
そして隅っこの方にあるこの小さな丸い湯舟
子猿の湯というらしいです。
ここが人肌くらいのぬる湯で白猿の湯で温まってから、子猿の湯でクールダウンという交互浴がすこぶる気持ちよかった。
子猿の湯に先客もいたので私も疑問に思わずざぶざぶ入っていたのですが、掛け湯・上がり湯で使用している人もいて…
「??」「もし掛け湯・上がり湯専用だったら私ここに入ったのものすごい非常識じゃないか!!」
と思って、宿の方に聞いたら白猿の湯&子猿の湯で交互浴が正しいとのことでホッと一安心。
因みに白猿の湯は女性専用時間が朝6~7時、午後2~3時、午後7時半~9時の1日3回。
チェックイン時間との兼ね合いから1泊2日だとここに 朝6~7時 と 午後7時半~9時の2回しか入れないんですよね。
今回は2泊なので、全ての女性専用時間帯に入って計5回。
お目当ての白猿の湯、エンジョイしました。予は満足じゃ!
食事
湯治部の食事は正直あまり期待はしていなかったのですが、いい塩梅でした。
2日連続全く同じものがでるのかな?と思っていたのも、いい意味で裏切られたし。
1泊目夕食
2泊目夕食
1泊目朝食
2泊目朝食
夕飯午後17時・朝食午前7時で部屋食となります。
お膳で配膳されて食べ終わったら部屋の外に出しておくという手軽さ。
旅館の華やかな食事は毎日食べる類のものではないと個人的には思っていて、その点湯治部のご飯は家庭料理寄りなので2日続いても飽きずに食べられました。
量は見ての通りなので、男性には少々不足かもしれませんが、まぁそこは湯治部。
持ち込み自由だし、足りなければ持参したものを食べたり自炊すればいいさ。
途中道の駅で見繕った地酒で乾杯。
2日目のお昼は藤三旅館にある「灯」という食事処で頂きました。
どっぶり温泉と向き合いたい気分だったので、宿から出なくてもお昼ご飯が済むのが嬉しい。
それとラウンジ藤時Fujiというところがあって、15~18時は1,650円で 日本酒・ジュース・ビール・焼酎・コーヒーなどドリンク飲み放題、18~21時はバーになります。
和モダンでシックな大人の空間でした。
こんな風に温泉+αのおもてなしが散りばめられいるのが心憎い。
「灯」も「ラウンジ藤時Fuji」も部屋番号を伝えてチェックアウト時にまとめて清算できます。
まとめ
憧れの2連泊。振り返ってみるとあっという間でした。
連泊してやっと丸1日くらいの感覚。
温泉宿は基本15時チェックインの翌日10時チェックアウトということを考えると、その感覚はあながち外れてはいないかもしれません。
これが1泊2日だと「ラウンジ藤時Fuji」 は利用できるにしても、「灯」には行くことはなかっただろうし、こうして藤三旅館をくまなく楽しめたのも2連泊という時間の余裕があったから。
時間の余裕は気持ちの余裕にも繋がっていて、温泉宿に来るとありがちな「夕食直前・直後の人が少ない時間を狙って入浴するぞ!」とかいう妙な気負いも生まれなかったなぁ。
充実の藤三旅館・湯治部2連泊でした。
また来たい。
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が、しかし!!
近くにある大沢温泉の湯治部もかなり気になるし、同じ岩手県にある夏油にも今度は湯治で再訪したい。
こうして行きたい温泉が増えていくのでありました。
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